NEW! 国家資格制度について
登録日本語学校教員以外の日本語教育現場では必要がない制度です。
登録日本語教員(国家資格)制度とは
今回の登録日本語教員(国家資格)制度ですが、この資格がなければ日本語教師にはなれないのかという問い合わせを本校でも受けます。
もちろん、そんなことはありません。
元々、この資格制度は、日本国内の留学ビザで来日している学生を対象とした学校(いわゆる告示校)で教える際に必要な資格として創設されたものです。
つまり日本語教育全体の中で一部において有効な資格であることを理解しておかねばなりません。
ほとんどの日本語を教える場合は必要なし
告示校以外で教える場合、つまりほとんどの日本語を教える場合はその資格は必要ありません。
それが、いかにも日本語教師になるためには必要な資格のように誤解されている現状は、文科省の周知がまだまだ徹底していないからではないでしょうか。
また、この資格があればすぐに日本語教師として採用されるようなイメージがありますが、もちろんそのような魔法の資格ではありません。
日本国内に住んでいる一部の日本人教師のためのもので海外の日本語教師及び外国人日本語教師には意味のない資格
この資格制度は、日本国内に住んでいる一部の日本人教師のためのもので海外の日本語教師においては想定外であり何の効力もありません。と同時に外国人の日本語教師や日本語教師を目指す人たちにも意味のない資格です。
この制度の問題点
この制度の問題点は今や世界中で日本人以外のいろいろな国籍の日本語教師も活躍している時代に、この制度は狭く偏った島国的発想であるということです。
ちょっとネットで検索するだけでも多くの日本人以外の日本語教師がユーチューブなどで日本語を教えているのがわかります。しかしながら、この制度はそれら外国人日本語教師のことは想定も考慮もされていません。
一部の日本国内の日本語教育機関と一部の日本人日本語教師だけが有利になるような制度は日本語の普及と発展を妨げるのではないでしょうか。
日本語を日本文化とともに世界に向けて普及・発信するというその最も重要な視点が欠如しています。この制度が日本語の国際化に貢献しているか、甚だ疑問です。
空手や柔道などに学ぼう
日本語は日本文化そのものでありますが、日本発祥の空手や柔道などの海外普及から大いに学ぶべきものがあります。
国境を超越した日本の伝統武道という普遍的な領域で日本人も外国人も切磋琢磨した結果、日本人の生徒に敬われている外国人の武道の先生たちはいくらでもいます。
今では、それらの先生たちを慕って日本から海外に武道の修練に行くのも珍しくありません。またそれによって空手や柔道が廃れたかというと全く逆で、技、精神面、体力面等あらゆる面で日本人自身も成長しています。それが世界の習い事の潮流です。
すなわち、外国人日本語教師によって日本語教授法の向上も期待され、洗練され、そしてそれが日本語の普及に繋がるわけです。実際、外国人日本語教師から日本人日本語教師が学ぶことはたくさんあります。
魔法の資格ではない
上述しましたが、この資格試験に合格すればすぐに採用されて教師として教壇に立てるという魔法の資格ではありません。
それはある意味当然のことですが、しっかりとした教える技術がなければ採用されることはありません。文科省はそのこともしっかり周知しておく責任があります。さもなければ、資格試験を受けさせることが目的と、とられかねないからです。
誰のための日本語教育かという視点
この制度があくまでも日本人のための国語政策であれば日本国及び日本人のことだけを考えれば良いわけでそのための国家資格であれば国が関与してしかるべきで異論はありませんが、我々が教える日本語はあくまでも一外国語としての日本語で、教える対象は日本人以外の全ての外国人だということ。しかも教えている学校は文科省の認可を受けているとはいえ、単なる一民間機関にすぎません。
その一部の民間機関のためだけに国家資格にまでする必要があるのか、首をかしげずにはいられません。
繰り返しますが、日本語学習者は日本人以外の世界中の外国人です。忘れてはならないことは誰のための日本語教育かという視点です。
最も大切なこと
世界の人を相手に日本語を教えるのが目的であれば、時間と費用をかけて資格試験を受験するよりも、日本語教授を実践で磨きをかけていくほうが合理的思考だと考えます。
以上、今回の国家資格について述べましたが、何度もいうように外国人に教えるには資格保有ではなく、確かな技術で教えられるかどうかです。そのことを理解しておかねばなりません。