オーストラリア(海外)における日本語教師の仕事の探し方

日本語教師になるという夢の実現に仕事探しは不可欠です。
仕事探しにもいろいろな方法がありますが、次の5通りの方法を紹介します

1. 個人教授として学習者の自宅や会社等へ出張して教える。
2. 既設の日本語教育機関で働く。
3. 英語学校・ビジネス学校等に日本語コ-スを新設するように働きかけそこで 教師と学習者集めの仕事その他も兼ねる。
4. 自分で日本語教室を開く 。
5. オンラインで日本語を教える。

どれにするかはみなさん次第ですし、これら以外にも方法があるでしょうからどれがよいとはいえませんが、ここではこの5つを出来るだけ詳しく述べていきます。

1. 個人教授として学習者の自宅や会社等へ出張して教える。

この方法は一見難しそうですが、実際には比較的簡単でしかもやり方次第では安い経費で学習者を見つけることができます。

学習者の自宅で教える場合

自分で「日本語を教えます」式のチラシ(A5サイズ)を作成しそれを100~200部コピ-して近所の郵便受けに入れます。コピ-したチラシを封筒に入れそれに折鶴などを添えれば興味をひいてもっと効果があるでしょう。どのようなチラシがよいかというと一目で日本語が習えるということが分かるものです。見出しは出来るだけ大きく書き、長くならず意図を明瞭にします。その下にはプロの日本語教師が教えるということを短く書きます。あとは教師のセ-ルスポイント、時間帯、授業料(はじめは格安でもOK)がいくらかそれも個人の場合とグル-プの場合の2通りを記入し、また場合によっては授業料は学習者の意向も聞く(negotiable)というようにしておけば親切に受け取られてよいでしょう。最後に自分の名前と連絡先を明記してください。手書きより印刷したものを使用した方が読みやすく好印象を与えます。ただし、この方法は学習希望者が男性の場合、女性の教師には安全面においてあまりお勧めできません。

次の例を参考にしてください。

Learn Japanese!

Taught by a professional native teacher

Teach at your location & Quick-practical approach

Day: Mon & Wed (twice a week)

Time: 6:00pm - 7:30pm (1 and a half hours)

Tuition Fee: $300 for 10 hours---private lesson

$250 for 20 hours---group lesson(per person)

◆ Fee is negotiable.

CONTACT: Kenji Yamada

Address 4/1 Cleland Road, Artarmon, NSW 2064

Telephone 9904-7239

E-mail  japanese@wjlc.net

その他日本人とオ-ストラリア人がよく集まるクラブ、教会、学校、ショッピングセンタ-、駅等の掲示板にチラシを貼ることもできます。ただし、その際関係者に貼れるかどうか必ず確認してください。無断で貼ると罰せられることがあります。また、地域のフェイスブックを利用したり、多少の費用をかけても構わない場合は情報誌のクラシファイド等の広告欄(WEB あるいは雑誌)を利用するのもよいでしょう。本校の日本語教師養成講座の卒業生曰く、効果がでるまでしばらく時間がかかるそうです。諦めずに学習者が見つかるのを待つことです。そして、Eメールや電話で問合わせがあったら丁寧かつ正確に授業の内容と条件を伝えます。先方がこちらの話を直接会って聞きたいということになったら、一歩前進です。会う時はどんな相手に対しても自分から自己紹介をすること。あとは授業に関する内容をできるだけ具体的に示し(カリキュラムがあるとよい)、時間や授業料を説明します。その際自分の名刺や履歴書があれば更によいでしょう。また、直接出向かないで、ズーム、スカイプ、ライン等を使ったオンライン学習も可能です。

会社等へ出張して教える場合

個人に教える場合と違って誰にでもというわけにはいきません。まず、どのような分野で日本語が必要とされているか調べなければなりませんが、一般的に日系企業、日本人客を相手にしている観光業(ホテル、レストラン、免税店、お土産店等)では日本語の需要があるようです。そのような所のリストを作ってみましょう。それからその一軒一軒にEメールを出すか、電話をし、責任者に面会できるか尋ねます。その際、あくまで先方の都合を優先し予め授業の内容、授業料、時間数等を話しておくとよいでしょう。会ってもらえるとなったらきちんとした身なりで指定の時間に決して遅れず、授業の内容を明記した案内書と履歴書・名刺を持って行きます。責任者に会ったら丁寧に挨拶し授業の内容を簡潔に説明し、こちらに利することより先方に利することを優先して話します(ここがポイントです)。交渉次第では、オンラインで教えることも可能です。ただし押売りは禁物です。あとは先方に考える時間を十分に与え、返事を待ちます。

2. 既設の日本語教育機関で働く。

この道は一番やさしく見えますが、実は意外と難しい道です。というのは誰でもこの方法が一番手っ取り早いと考え、就職希望者が殺到するからです。まずオ-ストラリア・シドニーの事情を知るためにWEBサイトで調べたり、教育省(Department of Education)のWEBサイトで日本語(通学・通信ともに)がどこで教えられているかを探します。 因みに本校の卒業生は次のようなところ日本語を教えています。

(1) 大学

(2) 高校、中学(通信教育)

(3) 小学校

(4) 幼稚園

(5) TAFE(政府の専門学校)

(6) 夜間学校(各地域のEvening College)

(7) 語学学校(ビジネス学校も)

(8) 教会その他

上記8つのうち(1)、(2)、(3)、(4)、 (5)において特に正職員(フルタイム)として働く場合は教員免許を最低条件としているところが多いようです。以上のことを参考にして自分の働ける条件で何校かに絞りましょう。次に選び出したところに日本語教師の空きがあるかどうかを確かめ、空きがあれば応募方法を尋ねます。ない時は今後採用の機会があるか聞いておくとよいでしょう。いずれにしてもとりあえず履歴書を送るようにいわれることがあります。その時は相手が日本人であれば履歴書に就職願いを兼ねた手紙を添え、オーストラリア人であれば英文で履歴書・カバーレターを人事担当者(必ず事前に名前を確認すること)に送付してください。ここで大切なのは第一印象が決定的となる場合が多いということです。人事担当者も人間であるので最初に送る手紙の文体表現には細心の注意を払わねばなりません。また、やたらと日本語教育機関に先方の担当者の名前もきかずに履歴書を送るやり方はお勧めできません。徒労に終ることが多いからです。あとは面接のお知らせを待つだけです。これに合格すれば採用となります。

3. 英語学校・ビジネス学校等に日本語コ-スを新設するように働きかける。

オ-ストラリア特にシドニ-には数多くの語学学校、ビジネス学校がありますが、日本語コ-スを併設している学校は案外少なく、そういうところに日本語コ-スを新設するよう打診してみるのです。経営者が乗り気になれば具体的な条件をこちらから提示していきます。参考までに手順を述べます。

  1. 開講クラスの日時、カリキュラム、クラスサイズ、授業料等を明記したコ-ス案内書を作成し学校側に提出します。コ-スの一例として、週2日(月・木)午後 6:00~8:00の10週間コ-ス全40時間で300ドル、クラスサイズを10人、対象を初級者(Biginners)とすれば非常に安く学習者も集めやすいでしょう。テキストはWJLCのSpoken Japaneseの Beginners Ⅰを自分なりにアレンジしそれをタイプします。あるいはWJLCから購入することもできます。そこで学校側の承諾を得られたらそれを50部ほどコピ-します。
  2. 学習者募集用の広告を学校側に作成してもらいそれを新聞、雑誌等(WEB広告も含む)に何回か掲載します。
  3. コ-スの問合せに対しては全て自分自身で応じ責任をとります。その際、最上の対応で美しく話し、コ-スの内容を要領よく手短に説明してください。そして最後に学校までの道順を親切に教えましょう。

    第1回目の授業までの準備は無給サ-ビスとしますが、開講日以降の雇用条件については事前に契約しておかなければなりません。第1回目の授業であなたが胸を張って堂々と日本語を教えられたら大成功です。
4. 自分で日本語教室を開く。

日本語教室を開くとなるとまず資金が必要になると考える人もいますが、必ずしもそうではありません。教室を開く際に最低限必要となるのは学習者の人数分の机と椅子、それに見合ったスペ-スです。自宅の一部が教室として使用できれば申し分ありませんが、できない場合はどこかに場所を確保しなければなりません。例えば、各地域にあるコミュニティ-センタ-に掛け合ってみるのはどうでしょう。割と安い使用料で場所を提供してくれるかもしれません。ただしその地域の住民に貢献することを第一の目的とし、先方にあまりお金儲けのために日本語教室を開きたいという印象を与えないことです。オ-ストラリアと日本の交流のためだということを前面に出して交渉してみてください。あるいは公立の小・中・高校の授業前か放課後の教室を利用してその学校の学習者達に日本語を教えるクラスを設けるよう、校長かPTAの責任者に打診してみるのです。オ-ストラリアの公立学校は日本と違って一般の人たちに安い使用料で教室を使わせてくれるところが数多くあります。無料のところさえあります。

また、夜や週末に使用していない会社の事務所に賃借料を払って使わせてもらうことも可能です。交渉にあたっては常に誠心誠意で臨むこと。そして部屋の使用に関しては全責任を自分が取るという大前提のもとでお願いすれば、話に応じてくれる人が見つかるかもしれません。場所の確保ができたら次は学習者集めですが、集め方は「学習者の自宅で教える場合」を参考にしてください。最初から大勢を相手にするのも大変ですから、1~3人から始めてはいかがでしょう。教師の教え方がよければ学習者の家族や友人を誘ってくることがあります。そのようにして学習者がまた新しい学習者を呼ぶのです。もし学習者が減ったりやめていったりしたら自分の教え方に問題があったと素直に受け止め、WJLCの講師から講座受講中に言われたことを思い出してください。また、机、椅子、教材等は学習者が増えるに応じて揃えてゆけばよく、最初から多く購入する必要はありません。できればレンタルの方が無難だと思います。また、学習者が教室に来られない場合はオンラインで教えることも可能です。

5. オンラインで日本語を教える。

これはインターネットの環境が整っていれば、世界中どこにいても実現できる方法です。本講座では前半の一般通信講座の中で「オンラインで日本語を教える方法」を学習し、その中でも触れていますが、自分で学習者を募って教える方法とネット上にあるオンライン日本語教室に応募する2通りが考えられます。

自分で学習者を募って教える方法は「1.     個人教授として学習者の自宅や会社等へ出張して教える。」と「自分で日本語教室を開く」を参考にしてください。

ネット上にあるオンライン日本語教室に応募する場合はネット検索で「オンラインで日本語を教える」「ズーム/ライン/スカイプで日本語を教える」等で検索してみてください。日本語教師募集が沢山出てきます。募集要項も様々です。その際、特に日本語を教えたことがない方は待遇面より教える経験ができることを優先し、有給、無給にかかわらず、どんな条件でも教えるくらいの気概を持ってトライしてみてください。インターネットの発達により時間にも場所にも縛られなくなった今、今後ますますオンラインでの日本語のレッスンは盛んになるに違いありません。

以上5通りの仕事探しについて触れてきましたが、全般的に言えることは授業の内容が充実していないと一時的には良くても学習者は減ってゆきます。また、本校の420時間日本語教師養成講座を卒業し、日本語教育能力検定にも合格し、いろいろな資格を備えてもどんなに設備が良いこところで教えても肝心の教師がいい加減ではその設備すら活かせません。教師の心掛けがその教師の将来を決定しますのでそのことを念頭においてこれからの仕事探しに励んでください。